葉酸
水溶性ビタミンの一種で、プテリンとパラアミノ安息香酸から構成されるプテロイン酸に、1〜7個のグルタミン酸(アミノ酸の一種)が結合した構造を持ち、化学名は「プテロイルグルタミン酸」といいます。
1941年にほうれん草の葉から発見されたことから、ラテン語で「葉」を意味する「folium」と「酸」を意味する「acid」を組み合わせて「folic acid(フォリック・アシッド)」と名付けられました。日本語でもそのまま「葉酸(ようさん)」と呼ばれ、漢字で表される唯一のビタミンです。
葉酸は核酸の合成や、アミノ酸の代謝に関与します。また、ビタミンB12とともに赤血球を作る働きがあるため、「造血のビタミン」とも呼ばれています。葉酸が不足すると、DNA合成が阻害されて未成熟な赤血球(巨赤芽球)ができ、貧血を起こします。
さらに葉酸は、胎児の正常な発育に欠かせない栄養素です。特に妊娠初期の葉酸不足は神経管閉鎖障害のリスクとなります。神経管は、脳や脊髄などのもととなる部分で、妊娠6週目(受精後4週目)頃に形成されます。多くの女性が妊娠に気づくころには神経管はすでに作られ始めていますので、妊娠がわかる前から意識して葉酸を摂取することが重要です。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、妊娠を計画している女性や妊娠の可能性がある女性、妊娠初期の妊婦は、通常の食品からの葉酸に加え、サプリメントなどから1日あたり400μgの葉酸摂取が望ましいとしています。サプリメントに使われる合成葉酸の吸収率は約85%で、食品に含まれる天然の葉酸よりも高いのが特徴ですが、合成葉酸の過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすおそれがあるので注意が必要です。「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、合成葉酸の耐用上限量として、30~49歳の女性は1日あたり1,000μg、12~29歳の女性は1日あたり900μgに設定しています。複数のサプリメントを併用する場合は、この量を超えないようにしましょう。
また、神経管閉鎖障害は複数の要因がかかわるため、葉酸サプリメントを摂れば必ず防げるわけではありません。加えて、葉酸サプリメントを利用しているからといって、葉酸を含む食品の摂取をおろそかにすると、他の栄養素が不足する可能性があるため、バランスのよい食事を心がけることが大切です。