12
カゼイン
乳のpHを4.6に合わせたときに沈殿するたんぱく質。このとき沈殿しない水溶性画分を乳清(ホエイ)と呼び、乳糖、乳清(ホエイ)たんぱく質、ミネラルなどが含まれます。カゼインは牛乳たんぱく質の約80%を占めますが、ヒトの母乳(成乳)では約25%で牛乳よりも少ないのが特徴です。
カゼインは単一のたんぱく質成分ではなく、αs1-カゼイン、αs2-カゼイン、β-カゼイン、κ-カゼインの4種類が知られています。牛乳にはこれら4種類がすべて存在し、αs1-カゼインがもっとも主要な成分です。一方ヒト母乳にはαs2-カゼインはなく、αs1-カゼインも痕跡程度にしか含まれないという違いもあります。
乳中では複数のカゼイン分子が会合し、直径100~600nmのミセルとなり、安定化されています。乳が白く見えるのは、このミセルが光を乱反射するためです。
またカゼインミセルはカルシウムを多量に包み込んでいます。水に溶けにくいカルシウムがカゼインと結合すると、沈澱することなく分散して存在することができます。カルシウムをこのような形にすることで、赤ちゃんがカルシウムを摂取・吸収しやすいようになっているのです。