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シアル酸

シアル酸は糖たんぱく質、糖脂質、オリゴ糖の構成成分として、体内に広く分布している酸性糖質で、母乳にも含まれています。母乳中のシアル酸は、初乳で最も多く、産後日数を経るとともに減少していくことから、とくに新生児期に重要であると考えられます。
母乳シアル酸には、赤ちゃんを病原体の感染から守る働きがあります。病原性大腸菌やインフルエンザウイルスなどの病原体は、細胞表面のシアル酸に結合し細胞に付着するから感染を起こすことが知られています。
母乳中のシアル酸は病原体が細胞に付着する前に結合することで、感染を防いでいると考えられます。

また、シアル酸はとくに脳や神経に多く存在し、その量は乳児期に急激に増加する一方で、赤ちゃんのシアル酸合成能は未熟であることが知られています。したがって母乳のシアル酸は赤ちゃんに足りないシアル酸を補い、脳や神経系の器官の形成や記憶学習能などの機能の発達に関与すると考えられています。

母乳事典