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炭水化物
ブドウ糖(グルコース)や果糖(フルクトース)、ガラクトースなどの単糖で構成されているものを総称して炭水化物と言います。炭水化物にはショ糖やでん粉など体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されずエネルギー源にならない「食物繊維」があります。
糖質は単糖に分解されて小腸から吸収され、1gあたり約4kcalのエネルギーを産生し、主に脳や筋肉などの細胞の活動を支えます。エネルギー源として消費されずに余った糖質はグリコーゲンや脂肪として体内に蓄えられます。
ヒトの母乳の炭水化物はガラクトースとブドウ糖が結合した乳糖が主体です。乳糖は乳糖分解酵素(ラクターゼ)によりガラクトースとブドウ糖に分解され小腸から吸収されて、エネルギー源として利用されるほか、ガラクトースは脳神経系の組織構成に利用されます。大人は肝臓でブドウ糖をガラクトースに変換することができますが、赤ちゃんではこの働きが弱いので、母乳からのガラクトース補給は脳神経系の発達に重要な意義があります。消化吸収されなかった乳糖は、小腸下部から大腸に達し、ビフィズス菌などの栄養源として利用されます。また乳糖には消化管でのカルシウムやマグネシウムの吸収を促す働きもあります。
母乳中のたんぱく質やミネラルが出産後の日数経過に伴い減少するのに対し、乳糖は増えていくのが特徴的です。一方で、離乳食が始まって乳糖以外の糖質を摂取するようになると、乳糖分解酵素は徐々に減っていきます。この酵素の働きが弱い人(大人)が牛乳を飲むと、おなかがゴロゴロすることがあります。