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たんぱく質
筋肉や内臓など体を構成する成分として、また酵素やホルモンなどの材料として利用される極めて重要な成分です。たとえば、皮膚のコラーゲンも、酸素を運搬するヘモグロビンも、食物を分解する消化酵素も、すべてたんぱく質です。私たちの体内には10万種以上のたんぱく質が存在するといわれ、それぞれが固有の機能をもって私たちの生命活動を支えています。
たんぱく質は20種類のアミノ酸が鎖状につながった高分子物質で、食物として摂取したたんぱく質は消化酵素によりアミノ酸に分解されて小腸で吸収され、体内で必要なたんぱく質の合成に利用されます。
私たちの研究によると、母乳のたんぱく質組成は、カゼイン:乳清たんぱく質:非たんぱく態窒素成分の比率がおおむね25:55:20で、この比率が80:15:5の牛乳の組成とは大きく異なっています。カゼインは胃の中で固まりとなり、ゆっくりと消化吸収されるのに対し、乳清たんぱく質は固まらないので速やかに消化吸収されるのが特徴です。
また乳清たんぱく質には、オステオポンチン、免疫グロブリン(抗体)、ラクトフェリンなど消化されにくいものも含まれます。とくに初乳に多く、赤ちゃんを感染から守るなどの働きがあります。
母乳のたんぱく質の量は、牛乳の1/3程度と少ないことも特徴です。これはヒトの赤ちゃんはウシの赤ちゃんよりゆっくりと成長するため、必要なたんぱく質量も少ないからです。