昼と夜で成分が違う!
母乳と赤ちゃんの生活リズムの関係

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  • 母乳コラム

生まれたばかりの赤ちゃんは、昼夜に関わらず、短い周期で睡眠と覚醒を繰り返しますが、生後4か月頃までに、中枢神経系(脳)の生理機能の成熟とともに、昼間は起きて夜は寝る生活リズムが形成されていきます。この時期は母乳が唯一の栄養源で、この赤ちゃんの生活リズム形成には、母乳の成分がかかわっていることが分かってきました。

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夜間に多い、メラトニンとピリミジンヌクレオチド

出産後1~4か月のお母さんにご協力いただき、昼と夜で変化する母乳成分があるかどうか、調べました。いろいろな成分を調べた中で、メラトニンとピリミジンヌクレオチド(シチジル酸とウリジル酸)という成分は夜間に多く、脂質とタウリンは夜間に少ないことが分かりました。

夜間に多い、メラトニンとピリミジンヌクレオチド

メラトニンは睡眠や覚醒のリズムを調節するホルモンで、催眠作用を持つことが知られています。太陽光など光刺激が弱まると増え、逆に環境光が多い日中は少なくなります。母乳中のメラトニンも夜間に多く、最大で昼間の35倍にもなっていました。一方で個人差も大きく、就寝時刻が遅いお母さんほど、夜間の母乳中メラトニン濃度が低く、昼夜の差も小さいことがわかりました。メラトニンには催眠効果のあることが知られていますので、お母さんの生活習慣が母乳のメラトニン濃度に影響し、さらに赤ちゃんの生活リズムに影響するかもしれません。

ピリミジンヌクレオチドは、代謝の過程でウリジンという睡眠促進物質に変化し、メラトニンとともに、赤ちゃんの夜間の睡眠に影響していると考えられます。

夜間に少ない脂質とタウリン

夜間に少ない脂質とタウリン

「身長を伸ばす」ホルモンとして知られる成長ホルモンは、睡眠中に分泌されます。これは生後3~4か月の赤ちゃんでも同じです。一方で成長ホルモンの分泌は、血中の遊離脂肪酸にも影響されるとの報告があります。遊離脂肪酸は脂質が分解されて生じるので、夜間に母乳の脂質が少ないことは、睡眠中の成長ホルモン分泌促進につながると考えられています。

一方、タウリンは光の刺激に対する網膜機能の維持や発達に重要な成分です。したがって、光の強い昼間に母乳を通じてより多くのタウリンが供給され、夜間に減少することは、赤ちゃんの網膜機能の維持・発達にとって理にかなった変動であると考えられます。

お母さんも規則正しい生活リズムを

母乳成分の日内変動は、赤ちゃんの生活リズム形成や成長・発達に影響していると考えられます。また、メラトニンなどの成分はお母さんの生活習慣の影響を受けて変動します。

母乳を通じて赤ちゃんの睡眠・覚醒リズムの形成を促すためにも、授乳中のお母さんは生活リズムを整えることを心がけましょう。

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