
乳児に大切なドコサヘキサエン酸、その増やし方
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母乳は赤ちゃんにとって「最良の栄養」です。一方で、母親の毎日の食事の影響を受ける成分があり、そのひとつが乳児の脳や神経の発達に大切なドコサヘキサエン酸(DHA)です。赤ちゃんにより多くのDHAを届けるにはどうすればいいのでしょうか?
母乳中のDHAの大切な働き
ドコサヘキサエン酸(DHA)は、乳児の脳や目の網膜などの神経細胞、器官形成や機能発達に重要な役割を果たす成分です。
出生からの1年間は一生で最も脳が発達する時期であり、その重さは約2倍にもなります。この時期は、同時にDHAを必要とする時期でもあるのです。したがって、母乳を通じてより多くのDHAを乳児に届けてあげたいものです。
DHAを豊富に含む食品と言えば魚介類。そして、魚介類の摂取が母乳中のDHAに影響することが分かっています。普段から魚介類を摂取する日本人母乳のDHAは欧米人より多いと聞いたことがあるかもしれませんし、週に3回以上魚介類を摂取する人の母乳中のDHAは週1回以下の人より多いことが報告されています。
日本人の魚介類摂取量が減っている

ところが、「魚料理が苦手」「調理や後片付けが面倒」「妊娠中は一部の魚は避けた方がよいと聞いた」といった理由から、お母さんたちの魚の摂取量が年々減少しています。
1989年と2008年で、魚介類の摂取量と母乳中のDHA含量を比べると、魚介類摂取量が約20%、母乳中のDHA含有量も20%以上減っていることがわかりました。
母乳を通じて乳児に多くのDHAを届けるために、できるだけ意識して魚介類を摂るように心がけましょう。
DHAサプリメントも有効

とは言っても、週に何回も魚を調理するのはムリ、お刺身やお寿司もたまにしか食べないし、そんな方もいることでしょう。そんな時はDHAのサプリメントを上手に使いましょう。
当社で行った試験では、普段魚をあんまり食べないと感じているお母さんに350㎎のDHAをサプリメントで7日間摂取していただくと、母乳中のDHAが約1.5倍に増えていました。
さらに現在実施中の第3回全国母乳調査でも、DHAサプリメントを摂取している人の母乳中DHAは使用していない人より多いことが分かっています。
妊娠が分かったら、DHAを意識しよう!

脳などの器官形成はお母さんの胎内にいるときから始まり、妊娠後期の胎児はより多くのDHAが必要と言われています。
また、海外の研究で、DHAなどのn-3系脂肪酸の摂取が少ないと、早産や低体重児出産のリスクが高まるとの報告があります。
妊娠が分かったら、DHAの摂取を意識しましょう。